● ● ひとりごと ● ●

2001年5月27日(日)福岡地方晴れ
内装設計の仕事をしている夫が、平家の落人伝説で有名な椎葉村(宮崎県)の隣にある諸塚村の仕事をすることになった。地理的に言うと、ここは、九州のちょうど真ん中当たりにある山の中の宮崎県よりの場所に位置している。夫は、主に文化施設を担当していて、市町村の資料館や記念館の設計を手がけることが多い。だから、商業施設などの仕事にくらべ、決して交通の便がいいとは言えない市町村の仕事も多い。

諸塚村は、福岡市内から車で4時間くらいの山深いところにある。山に広がる森を利用して椎茸の栽培がさかんだそうだ。ところが、夫は椎茸ぎらい。大人になると、嫌いなものでも我慢すれば食べられたりするものだが、椎茸だけはどうしても食べられないらしい。そして、今回リニューアルの仕事を頼まれたのは、この村の「しいたけの館」だった。この仕事が決まったときから、夫はかなり嫌がっていた。

打ち合わせなどで諸塚村に行くときも、夫は最初のうちはどんなに遅くなっても日帰りだった。泊まると椎茸料理が出るから、というのがその理由だ。片道4時間、往復8時間かけて、打ち合わせの時間は数時間、というのもざらだった。文化施設の仕事では、内装設計に加えて展示計画などもやることになる。展示のテーマについて、本などでひととおり学習したりするのだが、「椎茸の本だけは読みたくない」とぼやいていた。

そんな夫の苦悩には同情したくなるが、夫の話を聞くたびに、私の中では「諸塚村に行ってみたい」という気持ちが大きくなっていった。手つかずの自然が残る「しいたけの森」、魅力的である。スタートから1年近くかかって、リニューアルを終えた「しいたけの館」が4月にオープンした。私にも、諸塚村に行く機会が訪れた。
(続く)
2001年5月20日(日)福岡地方晴れ
知り合いのMさんに『読ませる技術』(マガジンハウス:山口文憲著)という本を渡された。「まずい文書を書かないコツ」が書かれた本である。私の書く文章が目にあまるということ?

軽いショックを受けつつ、気を取り直して本に目を通した。他の人に読んでもらうことを前提にしたいわゆるエッセーやコラムを書く上で、やってはいけないこと、最低限やるべきことが具体的に書かれていて、ためになる本だった。軽い文体で、すらすらと読ませてくれて、けっこう笑わせてくれたりもする。この本自体がおもしろく読めるということは、著者の理論が正しいということなのだろう。

やってはいけないことで、すでにやってしまっていることもいくつかあった。特に、「世間の常識をなぞってはいけません」という項目。環境を破壊してはいけないとか、官僚の不正は許せないとか、そういう単なる正論を書くこと。けれど、こういうことって、新聞記事とか読んで頭にきて、つい書きたくなってしまうものだ。

この本を読んだからといって、一朝一夕で文章がうまくなるわけはないが、文章のまずいところを知る手がかりにはなった。今後、これを生かせるかどうかが問題だけど。
2001年5月13日(日)福岡地方晴れ
昔、ナイロンの浴用タオルが一世を風靡したことがあった。それまでは多分普通のタオルで体を洗っていたのだと思う。ナイロンタオルを使うと、普通のタオルとは比べ物にならないくらい気持ちよく泡が立つので、ほとんどの家庭に必ずあったと思う。

その後、ナイロンタオルで体を擦りすぎると、皮膚が黒くなるという話が広がり、ナイロンタオルは勢いを失った。私ももちろん、ナイロンタオルを使うのをやめた。それから、数々の浴用タオルを試した。綿素材のものや麻のもの、和紡布も試したし、ヘチマなんかも使ってみたことがある。

その中で、私がいちばん気に入ったのが、絹の浴用タオルである。絹は、皮膚と同じたんぱく質でできているので、石けんをつけなくても汚れが落ちるらしい。体を洗うのに絹を使うようになって、石けんで体を洗うのを3、4日に一度にして、それ以外は絹のタオルだけで洗うようにしたら、それまでとても気になっていた背中のざらざらも気にならなくなった。

絹はタオル以外にミトンタイプも試してみた。手にすっぽりかぶせて使えて便利だったが、洗う箇所ごとにミトンを反対の手につけ替えるのが面倒だった。それで今は絹の軍手に落ち着いている。これは浴用ではなく、手荒れを防止するために寝るときにつける手袋なのだが、使い心地は上々だ。両手につけてそのまま洗えるので、素手で洗っているのとほとんど同じ感覚で使えて、ずぼらの私にはもってこいの浴用グッズになっている。
2001年5月6日(日)福岡地方晴れ
ゴールデンウィーク中、『キャスト アウェイ』(主演:トム・ハンクス、監督:ロバート・ゼメキス)という映画を観た。トム・ハンクスは早さを誇る宅配便 Fedexのシステムエンジニア。荷物を運ぶFedex の専用機に同乗し、システムの問題を解決する。世界中を駆け回る忙しい毎日だ。

ある日、トム・ハンクスの同乗した飛行機が太平洋に墜落する。トム・ハンクスは無人島に流れ着き、その島で4年の月日を生き抜く。4年後、トム・ハンクスは、無駄な贅肉が落ち、引き締まった体になっていた(実際20キロほど減量したらしい)。

何もない無人島で生活するために、道具をつくり、火を起こす。無人島でのトム・ハンクスの生活を見ていると、遠い昔の人たちが道具を発見したときも、ほんとにこんなふうだったかもしれないと思えてなかなか興味深い。

そして驚いたのは、 Fedex の箱の丈夫さだ。飛行機が太平洋に墜落し、積まれていた荷物は海に放り出された。トム・ハンクスは、無人島に打ち寄せらたいくつかの荷物をあけてみるのだが、水中に投げ出された箱の中身はまったくの無傷だった。クリスマス・カードもぜんぜん濡れていない。水一滴も通さないらしい。さすがFedex と恐れ入ってしまった。
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