「100時間かかって炭になったものがいい炭なんですよ」
どんな種類の炭でも、100時間かかって炭になったものがいい炭なのだそうです。長年にわたって炭焼きを続けてきた和合さんの言葉には重みがあります。
「その時間は火加減で調整するんですか?」
「炭焼きには減しかないんですよ。加はできない。だからむずかしいんです」
■炭づくりの難しさ
炭を焼く場合、まず密閉性の窯に炭材を並べ、口火焚きをします。一定時間口火焚きをし、自発炭化が始まったところで窯口を小さくして、炭材を蒸し焼きにします。炭化が終わったところで窯口をふさぎ、空気を完全に遮断して火を消します(白炭の場合、最後に空気を入れ、炭を高温で焼く行程が加わります)。さらに窯が冷えるまで、数日待ち、それから窯出しです。
つまり、火を入れるのは最初の1回だけで、あとは窯口の大きさの調整や火を消すタイミングなど、微妙な調整が炭のできあがりのよしあしを大きく左右します。長年の経験にたよる繊細な仕事です。また、長い時間をかけて焼き上げた炭のよしあしは、窯を開けたときにしかわかりません。数十年、炭焼きの仕事をしてきた和合さんにも、失敗はあるといいます。
■五世代にわたる炭づくり
和合園の石造りの炭焼窯は、新川製茶の樋口さんの茶園に程近い福岡県浮羽町の山間にあります。まわりを山林に囲まれた静かなところです。
和合さんの家では代々この土地で炭焼きを続けています。和合さんが知る限りでも、ご自身が4代目になり、後継者の息子さんで5代目になるそうです。和合園では、山林から炭材を切り出し、製品として加工するまでを行っています。茶道の炉などで使用する質の高い炭や炉灰なども作られています。
■職人としての自信と誇り
最近では森林破壊などの問題も叫ばれていますが、木材を切り出し炭をつくるというのは、環境に対してどういう影響があるのかという質問をしてみました。「炭の材料として雑木を切り出すんですが、森林のためには時々雑木を切ってやるのがいいんです。雑木を切ってやらないと森林は育たないんです。だから、炭を焼くという仕事で環境を破壊することはありません」人間は昔から自然と上手に共存してきたようです。
また、炭を焼く過程で取れる木酢液についてもおもしろい話を聞きました。木酢液は炭を焼くときに出る煙を冷却し、液体にしたものです。和合園では、煙の通る管の中心に水の通る管を通し、煙を冷やして結露させ木酢液を取ります。この冷却水には谷川の水を山から引いて使います。谷川の水の温度は季節よって変化します。
季節によって温度の変わる谷川の水を使うことで夏も冬も同じ品質の木酢液がとれるのだそうです。「自然はうまくできていますよ」
自然とうまく付き合いながら炭焼きの仕事を続けている和合さんには、炭焼き職人としての自信と誇りが感じられます。炭の話は尽きることがありません。和合さんの知識と技術が息子さんに伝えられるということは、私たちにとってもしあわせなことだと思います。
(取材日・2000年9月)
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